平成30年度 和泉市立総合医療センター 病院指標

年齢階級別退院患者数

当院の入院患者さんは60歳以上の占める割合が全体の69％と比較的ご高齢の患者さんが多くを占めています。一方当院には小児科があり小児救急患者さんの受け入れも行っているので10歳未満の割合も9％と比較的多くを占めています。当院の70歳以上の主な疾患は心不全、誤嚥性肺炎、人工股関節置換術です。

診断群分類別患者数等（診療科別患者数上位５位まで）

感染性疾患、アレルギー性疾患等を中心に入院を受け入れております。近隣の先生方からの紹介患者様や夜間の小児救急(輪番制)の時間帯、救急車にて搬送された患者様の入院も多く受け入れております。専門的な治療を要する患者様や、自宅が当院から遠方の患者様については他病院に紹介(転院)させていただいております。

外科では消化器・呼吸器・乳腺を各々専門とする医師が協力し、チームとして診察にあたっています。
呼吸器外科では肺癌・縦隔腫瘍・胸膜疾患・気胸・膿胸など呼吸器疾患に対し呼吸器内科と連携し行っています。消化器外科では胃癌・大腸癌・肝癌・膵癌などの消化器癌、胆石・ヘルニアなどの良性疾患、虫垂炎・消化管穿孔などの急性腹症に対し、消化器内科と連携し外科的治療を行っています。また乳腺外科では乳癌、乳腺良性腫瘍(乳腺線種や葉状腫瘍)に対する手術、また再発乳癌に対する最新の抗がん剤治療を腫瘍内科と連携し行っています。

整形外科領域では、高齢化に伴い変形疾患および骨粗鬆症に関連した骨折が増加しており、それらを対象とした診察をおこなっています。地域中核病院として内科の協力を得て心疾患・呼吸器疾患などの合併することの多い高齢者に対する手術を中心とした診療に重点をおいて、変性疾患(変形性股関節症・変形性膝関節症・脊柱管狭窄症など)および大腿骨近位部骨折(頸部骨折・転子部骨折)や脊椎椎体骨折等の急性期治療を行っています。

眼瞼下垂はメディアで取り上げられる機会が多くなり、周知されるようになったため、手術が増加しています。骨折を含む顔面外傷や、外傷や術後の傷跡(瘢痕、拘縮)の修復・再建は社会復帰する上で特に重要なことであり、力を入れて診察しております。手術の侵襲性に応じて、日帰り手術(外来手術)も積極的に行っています。

脳神経外科の入院は約50％が脳血管内障害の患者さんです。開頭手術だけでなく、カテーテルによる治療も増加傾向です。またがん治療拠点病院であり、脳腫瘍の治療も行っております。

当院の耳鼻咽喉科は入院加療を要する急性扁桃炎や扁桃周囲膿瘍、急性咽頭蓋炎などの急性疾患による入院が多い。また耳性めまいや突発性難聴にも対応しており、他科との連携を図りながら治療を行うことが可能である。
現状(令和1年10月1日)では手術は行っていないが、次年度再開できるよう調整中である。

泉南地域における脳神経内科の基幹病院として脳炎、脳症、けいれん性疾患、またギランバレー症候群などの免疫性神経疾患などの急性期治療に対応しています。その他の免疫性神経疾患における血液浄化療法も積極的に施行しています。神経変性疾患ではパーキンソン病の経腸持続ドパミン療法(デュオドーパ®)を得意分野としています。

当時皮膚科の特徴として、重症の帯状疱疹や蜂窩織炎などの感染症の緊急入院が多いことがあげられます。内服などの通院加療で改善がない場合には、すみやかに入院し点滴加療を開始します。重症化する場合には、基礎疾患があることが多いため、症状に応じて全身検索を行います。皮膚悪性腫瘍では、侵襲のある手術、抗がん剤や放射線治療を行う場合には入院となることがあります。アトピー性皮膚炎等の炎症性疾患が悪化した場合にも入院加療を行います。

新病院移転し、外来患者数の増加に伴い、前立腺癌・腎癌・膀胱癌など悪性腫瘍疾患に対する治療が増加しています。また和泉市民特定検診で腫瘍マーカー(PSA)高値の紹介も多く、前立腺生検も増加しています。

婦人科癌として子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌を主に扱っており、ガイドラインに準じて治療を行っています。進行・再発悪性腫瘍に対しては手術療法・化学療法・放射線療法を集約的に活用し治療効果の改善に努めています。子宮頸癌ワクチン接種も行っています。一方子宮筋腫。子宮内膜症などの良性疾患は身体に負担の少ない手術(腹腔鏡下、子宮鏡下手術などの低侵襲手術)に積極的に取り組んでいます。また婦人科急性腹症や合併症で厳重な周術期管理を要するケースも扱っています。挙児希望のある患者に対しては妊孕性温存手術も行っています。産科は扱っておりません。

現在呼吸器内科は肺の悪性腫瘍に関して診断部門を担当しており、肺の悪性腫瘍の在院日数が短いのは診断目的の短期入院によるものです。間質性肺炎は呼吸器疾患の中では少し専門性の高い疾患群で、呼吸器内科での診断、治療が必要となります。この疾患に関しては日本呼吸器学会の認定施設での診断・治療が望ましいと考えています。誤嚥性肺炎の転院率が高くなっていますが、できるだけもとの在宅や施設に戻れるように入院時より積極的なリハビリを行うようにしています。また75歳以上の肺炎患者でも相当数は誤嚥による誤嚥性肺炎と考えています。

当科が担当する疾患の多くは動脈硬化を基盤とする虚血性心疾患および心不全であり、心エコー図、冠動脈CT、心筋シンチ、心臓カテーテル検査といった高機能機器を駆使した診断を適切に行い、薬物治療に加え、必要に応じ冠動脈や下肢動脈のインターベンション治療を行っています。不整脈に関してはペースメーカ植え込み術のみならず、昨年から頻脈性不整脈に対するアブレーション治療も開始しており診療範囲が広がっています。
当院の特徴としては10年以上前から心臓リハビリに積極的に取り組んでいる事があげられ、再発予防に効果をあげています。

当院の血液内科では造血器悪性腫瘍に対する化学療法、造血幹細胞移植を中心に貧血や血小板減少症などの良性疾患も全て対応致します。
特に多発性骨髄腫に関しては最新の治療法を常に取り入れ、非常に良好な成果を得ております。急性白血病や悪性リンパ腫に関しても安全面を最大限に考慮し、クリーンルームの増設も予定もあり、受け入れ可能なため患者数はさらに増える予定です。

当院は平成30年4月より消化器内科(内視鏡)と肝胆膵内科と分けております。消化器内視鏡の件数は増加しており、治療必要な良性疾患・悪性腫瘍の患者数も増加しております。新設しました肝胆膵内科では専門医・指導医2名と若手1名の3名が常勤として診療にあたっています。肝癌に対する各種治療、肝疾患診断のための肝生検、ウイルス肝炎に対する経口剤治療などを行っています。

肺癌を中心に新規治療に関する臨床試験に取り組んでいます。泉州地域における癌治療の拠点病院としての取り組みを続けていきます。

当科では糖尿病緊急症、インスリン導入、教育を含め糖尿病患者さんの入院治療・指導を行っています。他に甲状腺疾患、下垂体疾患、副腎疾患等の診断困難な内分泌疾患についても入院して頂いて的確な診断と治療を行っています。

初発の５大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

5大癌に対する集学的治療を行っています。肺癌のみならず、消化管癌、乳癌、緩和医療に積極的に取り組んでいます。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

肺炎の入院患者は重症になるほど在院日数が長く、平均年齢も高くなっています。高齢者の肺炎はほとんど誤嚥性肺炎です。肺炎であっても在院日数は14日以内が望ましいと考えており、入院当初より嚥下リハビリ、全身リハビリを積極的に行い早期退院を目指していますが、重症患者ではやはり在院日数が長くなっています。なお軽症肺炎は外来治療も可能ですが、患者一人一人の病状を見るだけでなく、通院時間や独居等の社会的背景も十分考慮して入院治療を決定しています。

脳梗塞の患者数等

国民病ともいえる脳卒中。血管が詰まれば脳梗塞、血管が切れると脳内出血もしくはくも膜下出血となります。脳梗塞は血管が動脈硬化で詰まる血栓症と別の部位から塞栓物質が流れてくる塞栓症があります。脳出血は脳実質に出血をきたすため高血圧症や血管奇形が原因となります。くも膜下出血はくも膜と脳本体とのすき間に出血します。ほとんどが脳動脈瘤破裂によります。これまでに経験したことのないような激しい頭痛はくも膜下出血を疑う症状で緊急の対応が必要となります。

診療科別主要手術別患者数等（診療科別患者数上位５位まで）

小児の外科的疾患も一部は対応しておりますが、専門性の高い疾患については他院へ紹介させて頂いております。判断に迷うケースも受け入れは可能ですが、必要に応じて他院へ紹介させて頂くこともございます。

平成30年4月より呼吸器外科・乳腺外科の専門医が加わり、新たな外科診療体制となって手術件数が増加しています。特に肺悪性腫瘍に対する胸腔鏡下切除、乳腺悪性腫瘍に対する乳房温存手術が増加しています。呼吸器外科ではほとんどの手術が低侵襲な胸腔鏡下に行われており、また乳腺外科では形成外科と腫瘍内科とも連携して、乳房再建及び周術期や再発乳癌の抗がん剤治療も最新の医療で提供できるようになりました。平成30年度は平成29年度と比較し手術症例数は倍増しました。

当院の特徴は整形外科・人工関節センター・脊椎外科センターで変性疾患の専門的な治療を提供しています。平成21年より開設された人工関節センターにおいて、一般的な手術においては3D術前計画・症例に応じた機種選択を行い脱臼率が低く股位制限が少ない手術法を実施しています。また難度の高い再置換術・高度変形症例なども他院より受け入れ対応しています。
脊椎外科センターは大阪府下でも数少ない脊椎内視鏡専門医が椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症などに対して内視鏡・顕微鏡による除圧術を実施していますが、脊柱変形に対する椎体固定術(前方・後方)などそれぞれの病態に適した手法を用いています。
高齢者下肢骨折では受傷から極力早期の手術に努め臥床期間の短縮をはかり、大腿骨頸部骨折に対する人工骨頭挿入術おいては術後肢位制限の必要がない方法にて加療しています。

眼瞼下垂はメディアで取り上げられる機会が多くなり、周知されるようになったため、手術が増加しています。骨折を含む顔面外傷や、外傷や術後の傷跡(瘢痕、拘縮)の修復・再建は社会復帰する上で特に重要なことであり、力を入れて診察しております。手術の侵襲性に応じて、日帰り手術(外来手術)も積極的に行っています。

脳梗塞は発症から時間が短い場合血栓を溶かす点滴やカテーテル手術で血栓の回収を行い、詰まった血管の再開通を得るため治療を行います。脳内出血は大きさや所によって手術による血腫除去術を行います。くも膜下出血は80％が脳動脈瘤の破裂によるもののため、再破裂を防ぐため、開頭手術やカテーテルによる血管内手術で治療を行っています。

悪性黒色腫、基底細胞癌、有棘細胞癌について、皮膚悪性腫瘍切除術を行い、切除範囲が広い場合には、皮弁形成術や植皮術も施行しております。褥瘡については、感染を起こしてポケット形成している場合には、デブリードマンを施行します。皮膚欠損が大きい場合には、皮弁形成術を行っております。

膀胱癌に対する経尿道的切除術や全摘症例数が増加しています。また腎腫瘍に対する腹腔鏡下手術も増加しました。尿路結石症に対してはホルミニウム・ヤグレーザーを新規導入し、内視鏡での粉砕術も積極的に行っています。

婦人科癌手術の多くはリンパ節郭清を同時に行なっています。傍大動脈リンパ節郭清を含め徹底的な切除を行い根治性を高めると共に、リンパ浮腫の予防に最大限の配慮を行っています。広汎子宮全摘出術では神経温存手術を多くに行い、排尿障害の予防に努めています。良性疾患では子宮全摘術、筋腫核出術や卵巣腫瘍摘出、附属器摘出術の多くは腹腔鏡手術で行うことが可能になっています。骨盤臓器脱手術では仙棘靭帯固定術や仙骨子宮靭帯固定術を併用し再発予防に努めています。

胸腔鏡下試験切除術は、呼吸器内科が行っている局所麻酔下胸腔鏡による主に診断目的の手術です。胸水を伴う悪性腫瘍や結核の診断には必要な検査であり、この検査については日本呼吸器内視鏡学会の認定施設で受けるのが望ましいと考えます。また呼吸器内科での血栓塞栓術は喀血患者の治療目的で行うもので、当院では放射線科の専門医師により治療を行っています。喀血の治療は緊急性が高く、気管支鏡検査と血栓塞栓術を速やかに行う必要があり、対応できる呼吸器内科医、放射線専門医、看護師、放射線技師の連携が重要です。なお気管切開術は長期侵襲的人工呼吸患者に行いますが非侵襲的人工呼吸法の普及により手術数は減少傾向です。

侵襲的治療に関してはガイドラインを遵守し適応のある場合に適切に行っています。平成30年度の冠動脈インターベンション治療は計74症例、除脈性不整脈に対するペースメーカ植え込み術は計29症例、頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーションは計42症例に施行し良好な結果を得ています。

当院の内視鏡治療件数は消化器の悪性腫瘍を中心として増加しております。消化管出血や急性胆肝炎の内視鏡治療についても対応可能です。

その他（ＤＩＣ、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率）

肺炎、消化管穿孔、術後縫合不全などの感染症が重症化し、敗血症やDICという重篤な合併症を引き起こすことがありますが、人工呼吸管理、栄養治療、血液浄化法などの集中治療を行い、回復を図ります。
手術の合併症については、起こりうる合併症について事前に十分な説明を行い同意を得たうえで術式を選択し、極力合併症を起こさないように努めております。
真菌症感染については眼内炎など重篤な合併症を引き起こす危険があるため、診断が遅れないよう留意し診療にあたっております。

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