CT検査で肺に小さな「影」が見つかった時、まず知りたいのは「どこにあるか」だけではありません。それが炎症なのか、腫瘍なのかを正確に調べ、あなたに合った治療法を見つけるために、影の一部を採取する検査(気管支鏡検査)が必要になります。
肺の奥深く(末梢)にある小さな影にカメラを届かせるのは、細く枝分かれした迷路を進むようなものです。病変にたどり着いた後、そこから「十分な組織を採る」ことこそが、正確な診断への最大の壁でした。
組織を採取する方法には、これまでの「鉗子」と、新しい「クライオバイオプシー」があります。
小さなピンセットのような器具で、組織を「つまみ取る」方法です。
プローブの先端を一瞬だけ凍らせて、周囲の組織を凍結させて「くっつけて」取り出す方法です。
| 比較項目 | 従来法(鉗子) | 新しい方法(クライオバイオプシー) |
|---|---|---|
| メカニズム | つまむ | 凍らせてくっつける |
| 組織の大きさ | 小さい | 大きい |
| 組織の質 | つぶれやすい | きれいなまま |
カメラが影の近くまで到達しても、チューブが影の「ど真ん中」を向くとは限りません。実際には、チューブの「すぐ横」に影があるケースが多く、これが診断を難しくしていました。
「ど真ん中をとらえる」のはまれなケースで、多くは「横をかすめる」だけになってしまいます。
まっすぐしか動けない鉗子に対し、クライオバイオプシーは周囲を360度凍らせることができるため、チューブの横にある影も逃さずキャッチします。
この新しい検査の有効性は、日本・韓国・台湾・マレーシアの6施設で行われた国際共同研究によって証明され、権威ある医学誌『Lancet Respiratory Medicine』に掲載されました。
The Lancet Respiratory Medicine 掲載の国際共同研究より ― 和泉市立総合医療センターも、この新しい医療をリードする参加施設の一つとして研究に貢献しています。
リスクがゼロの検査はありません。より大きくしっかりとした組織を採るため、従来法と比べて一時的な出血や気胸(肺から空気が漏れること)が起こる確率は少し高くなります。まずは正しい数字を知っていただきたいと思います。
| 合併症 | 従来法(鉗子) | クライオバイオプシー |
|---|---|---|
| 中等度の出血 | 19% | 38% |
| 気胸 | 1%未満 | 2% |
和泉市立総合医療センターは、クライオバイオプシーの豊富な経験を持つ専門医療機関です。
凍結の力で、細胞を潰さずに従来より大きな組織を採取できます。
360度凍結できるため、チューブの横にある病変でも正しい診断がつく確率が高まります。
国際共同研究に参加する技術力と、安全を最優先したチーム医療体制で検査を行います。
クライオバイオプシーについてご不明な点やご不安なことがございましたら、外来担当医・呼吸器内科スタッフまでお気軽にご相談ください。