臨床研究に関する倫理指針違反について
このたび、本院の医師が、国の定める「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に違反し、臨床研究を実施していたことが判明いたしましたので以下のとおり公開いたします。
本院における臨床研究に関する倫理指針違反の内容は、倫理審査委員会の審査及び研究機関の長の許可前に観察研究を実施し、学会発表を行ったという事案です。なお、データのねつ造や改ざん、患者様の健康を害するといった事案ではなく、公表された研究成果には研究対象者を特定できる情報は含まれておらず、個人情報の漏えい等はなかったことを確認しております。
今回の事態を厳粛に受け止め、病院長から関係者に厳重注意を行うとともに、臨床研究の実施者を対象に開催される講習会の追加受講、及び「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」についてより一層の遵守徹底を図り、今後の再発の防止と公正な研究活動の確保に努めていく所存です。
ご挨拶
臨床研究センター長 益田 典幸
2017年3月、北里大学医学部呼吸器内科を辞し、同年4月1日付で臨床研究センター長を拝命いたしました。
当院名誉総長の福岡正博先生はイリノテカン塩酸塩、ゲフィチニブ、アムルビシン塩酸塩など数多くの新薬の臨床開発に大きく貢献され、先生のご尽力なしにはこれらの薬剤は日の目を見なかったのではないでしょうか。その偉大な福岡先生に大阪府立羽曳野病院で治験・臨床研究の薫陶を賜った弟子のひとりとしてこの部署に御招聘いただき、感謝しております。もとより微力ではありますが当センター、また、当病院のこれからの発展に、出来たら世界水準にまで引き上げることに貢献できたらと考え、日々精進しております。今後とも皆様のご指導・ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
業務内容
和泉市立総合医療センターでは、様々な治験・臨床研究を実施しています。臨床研究センターでは、これらの治験や研究が安全かつ円滑に実施できるよう、CRC(クリニカル・リサーチ・コーディネーター)が、治験や研究にご協力頂ける患者さまへの説明補助・投薬や検査の案内等のサポートを行うとともに、医師・看護師・その他医療スタッフへの実施支援を行っています。
また、治験・臨床研究を実施する上で必要となる倫理審査のための申請書類(研究実施計画書・同意説明文書等)の作成補助や必須文書の管理・保管業務を行っています。
当院の治験実績
実施中の治験
| 診療科 | 治験の名称 |
|---|---|
| 腫瘍内科 | アストラゼネカ株式会社の依頼による転移性非小細胞肺がんの一次治療の患者を対象としたRilvegostomig単剤の第Ⅲ相試験 |
| グラクソ・スミスクライン株式会社の依頼による再発小細胞肺癌(SCLC)患者を対象とするGSK5764227の第3相試験 | |
| 局所進行又は転移性の食道胃接合部癌及び胃癌の一次治療としてのHLX22(遺伝子組換えヒト化抗HER2モノクローナル抗体注射剤)とトラスツズマブ及び化学療法(XELOX)の併用と、トラスツズマブ及び化学療法(XELOX)とペムブロリズマブの併用又は非併用について比較する無作為化、二重盲検、多施設共同、第Ⅲ相臨床試験 | |
| (治験国内管理人)IQVIAサービシーズ ジャパン合同会社の依頼による進行性悪性腫瘍患者を対象としたBGB-A317(Tislelizumab)の第Ⅲ相試験 | |
| 転移性非扁平上皮非小細胞肺癌患者を対象に、SB27(ペムブロリズマブのバイオ後続品候補)とキイトルーダの有効性、安全性、薬物動態及び免疫原性を比較する第III相、無作為化、二重盲検、多施設共同試験 | |
| HERTHENA–Lung02: EGFR-TKI療法が奏効しなかった転移又は局所進行EGFRm NSCLCを対象としてパトリツマブ デルクステカンとプラチナ製剤併用化学療法を比較する第III相試験 | |
| 乳腺内科 | 進展型小細胞肺癌(ES-SCLC)患者におけるHLX10+化学療法(カルボプラチン+エトポシド)の有効性、安全性及び薬物動態を評価する単群、非盲検、第II相試験 |
| 再発小細胞肺癌(SCLC)患者を対象とした、Lurbinectedin単剤投与又はLurbinectedinとイリノテカンの併用投与を、治験担当医師が選択したトポテカン又はイリノテカンの対照群と比較する無作為化、多施設共同、非盲検、第III相試験(LAGOON試験) | |
| 小児科 | シミック株式会社(治験国内管理人)の依頼による遅発型小児ポンペ病患者を対象としたATB200/AT2221併用療法の第3相非盲検試験 |
| 呼吸器内科 | 慢性閉塞性肺疾患患者を対象にastegolimab の有効性及び安全性を評価する第III 相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同試験 |
| 増悪歴を有する症候性の慢性閉塞性肺疾患(COPD )患者を対象としたトゾラキマブの有効性及び安全性試験(MIRANDA) |
| 診療科・部門 | 研究の名称 |
|---|---|
| 腫瘍内科 | KRAS G12C変異陽性の化学療法未治療進行再発の非扁平上皮・非小細胞肺癌患者を対象としたsotorasib+カルボプラチン+ペメトレキセドの第II相試験 |
| 未治療進展型小細胞肺癌に対するシスプラチン+イリノテカン+デュルバルマブ(MEDI4736)療法の多施設共同単群第II相試験 | |
| IQVIAサービシーズ ジャパン株式会社(治験国内管理人)の依頼による親試験で検討された様々な特定の固形腫瘍の患者を対象としたデュルバルマブの長期の安全性及び有効性を検討する試験 | |
| 切除不能の局所進行性又は転移性の胃腺癌又は食道胃接合部腺癌を対象としたBGB-A317の第Ⅲ相試験 | |
| 進行非扁平上皮非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+ペメトレキセド+アテゾリズマブ療法とカルボプラチン+ペメトレキセド+アテゾリズマブ+ベバシズマブ療法の多施設共同オープンラベル無作為化第III相比較試験 | |
| 局所進行非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+パクリタキセル+ニボルマブと胸部放射線同時併用療法のfeasibility study | |
| ONO-4538 第Ⅱ/Ⅲ相試験 胃がんに対する多施設共同無作為化試験 | |
| メルクバイオファーマ株式会社依頼による胃腺癌または胃食道接合部腺癌を対象にした維持療法としてのアベルマブと一次化学療法の継続とを比較する第III相非盲検試験 | |
| 進行性又は転移性非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対する一次治療におけるMEDI4736 + tremelimumabの併用療法又はMEDI4736単剤療法を白金製剤を用いた標準化学療法と比較する第Ⅲ相無作為化非盲検国際多施設共同試験 | |
| 切除不能、再発性または転移性の胃腺癌または胃食道接合部腺癌の三次治療におけるavelumab(MSB0010718C)の第III 相非盲検多施設共同試験 | |
| 小児科 | TS-071の小児2型糖尿病患者を対象とした第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検比較/長期投与試験 |
| シミック株式会社(治験国内管理人)の依頼による遅発型ポンペ病を対象としたATB200/AT2221 併用療法の第Ⅲ相継続投与試験 | |
| シミック株式会社(治験国内管理人)の依頼による遅発型ポンペ病を対象としたATB200/AT2221 併用療法の第Ⅲ相試験 | |
| 未治療の遅発型ポンぺ病患者を対象としたneoGAAの第Ⅲ相試験 | |
| 呼吸器内科 | 増悪歴を有する症候性の慢性閉塞性肺疾患患者を対象としたTozorakimab の有効性及び安全性試験の第Ⅲ相試験 |
| 循環器内科 | 大塚製薬の依頼によるうっ血性心不全患者を対象としたOPC-61815の第Ⅲ相試験 |
当院で実施中の臨床研究
当院で実施している臨床研究(人を対象とする医学系研究)の一覧を掲載しています。
このうち、通常の診療で得られた過去の記録を使用して行う研究および研究・調査への試料・情報提供については、研究内容・お問い合わせ先等の情報を公開しています。詳しくは、下記をご覧ください。
