臨床工学科

紹介

臨床工学技士とは医師の指示の下に、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行う職業です。
医学の進歩に伴い、医療機器もまた発展してきました。機械を扱うにあたり医学的、工学的な知識を持つ専門職が必要となったために1987年に作られた、まだ歴史の浅い資格です。
しかし、今後も進化していく医療にとって、なくてはならない職業ともいえます。人の呼吸、循環又は代謝の機能の一部を代替する機器を操作するスペシャリストとして様々な分野において活躍しています。


スタッフ

2023年4月現在、16名(男性9名、女性7名)の臨床工学技士が在籍しています。

就業時間

日勤:8:00~16:30
早出:7:00~15:30
夜間・休日:オンコール体制


業務内容

※当科では、下記の業務を行っております。

血液浄化業務

急性期治療として続的血液濾過透析法(CHDF)、血漿交換法(PE)、血漿吸着療法(PA)、エンドトキシンや活性炭などの血液吸着療法など幅広い血液浄化業務を行っております。
2018年より維持透析室が開設され、急性期のみならず維持透析室業務にも力を入れており、機器の保守管理はもとより、準備から穿刺、返血まで透析に関するすべての業務を行っております。

透析室(10床) (※個人用透析装置3台)
月・水・金 2クール
火・木・土 1クール

末梢血幹細胞採取

末梢血幹細胞採取は2018年の透析室開設時より導入され、急性白血病や悪性リンパ種などの血液疾患に対し、成分分離装置を用い末梢血の一部を集めることで、十分な造血幹細胞を確保します。
治療は1~3日間、透析室の個室で行っています。

腹水濾過濃縮再静注法(CART)

難治性腹水症の患者さんに対して行う処置で、腹水を腹腔より抜き、細菌やがん細胞を取り除き、アルブミンなどが濃縮された腹水を、患者さんに返します。

造血幹細胞移植

平成30年度より新たにスタートする業務となります。急性白血病や悪性リンパ種などの血液疾患に対し、成分分離装置を用い末梢血の一部を集めることで、十分な造血幹細胞を確保します。

心臓カテーテル検査

当院では臨床工学技士は清潔介助と外回りの業務をしています。
清潔介助者は冠動脈造影(CAG)時や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)時にセカンドまたはサードとして医師の横で治療が円滑にすすめるようにサポートをしています。外回りの業務はポリグラフ、IVUSの操作、物品の清潔出しなどを行います。
夜間の緊急検査やIABP・PCPS等の導入も行っています。

ペースメーカ関連業務

体外式ペースメーカ挿入時の操作を行います。
植込み型ペースメーカではペースメーカ外来やペースメーカ植え込み時のプログラマの操作も行います。また、植込み型ペースメーカ適応の診断目的として植込み型ループレコーダー(ILR)の立会い、操作も行っております。
業者との連携をとり患者さま一人ひとりに合った設定をできるように日々努力しています。

カテーテルアブレーション業務

当院では3次元(3D)マッピングシステムはCARTOシステムを使用しております。当科ではCARTOシステムの操作、EPSやスティムレータの操作を行っています。

内視鏡業務

胃カメラ、大腸カメラにおける介助、消化管出血に対する内視鏡的止血術、胆石や悪性疾患による黄疸に対する胆道内視鏡治療など消化器疾患全般の検査への立会いを行っています。

オペ室関連業務

麻酔器などの手術機器の日常点検をはじめ自己血回収装置やダヴィンチ、そして2023年3月より人工心肺業務を行っています。
自己血回収装置は使用時、オペ室にて使用管理をし、少しでも多くの血液を体内に戻すことで輸血をする必要のない工夫を行っています。
また、ダヴィンチ業務では外科・呼吸器外科・泌尿器科・婦人科の4つの部門のオペで使用され、低侵襲で患者さまへの負担が少しでも少なくなるようなオペを行っています。
人工心肺業務は2023年3月に1症例目を終え今後増えていく業務のひとつです。

Da Vinci Xi® Surgical System
麻酔器の始業点検

人工呼吸関連業務

日常点検、定期点検の実施や挿管時における介助などを行っています。
当院では挿管用人工呼吸器、マスク用人工呼吸器に関する呼吸器ラウンド、在宅用CPAPの導入、解析など幅広い機器の管理を行っています。
またRTXといった体外式人工呼吸器を使用し、小児から成人における呼吸の改善のサポートを行っています。

ラジオ波焼灼療法

ラジオ波焼灼療法とはラジオ波という高周波を利用して肝臓にできた腫瘍を死滅させるために行う治療です。
当科では術中の高周波をはじめとした周辺機器の操作を行います。

医療機器安全管理

・機器を安全に使用するためには点検は欠かせません。現在当院では輸液ポンプ、シリンジポンプ、 低圧持続吸引器、人工呼吸器等の中央管理を行い、機器管理室にて保守点検の実施と記録保存をし、 安全な機器を病棟にて使用してもらうために日々努力をしています。
また不具合の際の対応、 メーカとの連携(代替器準備)などMEが一貫して行うようにしています。
・医療機器に関する安全情報収集、院内スタッフへの提供、また医療機器修理、購入の申請 など医療機器安全管理における仕事は山ほどあります。

院内活動

・医療安全管理委員会、医療安全研修会
・クリニカルカンファレンス関連研修会
・急変時対応・一斉訓練準備会参加、新採用職員研修
・潜在看護師看護技術研修
・ライフサポート委員会

院外活動

・学会での演題発表、参加
・自己研鑽(認定士取得、講習会参加)
・技士会活動

取得認定資格

・透析技術認定士
・認定血液浄化臨床工学技士
・3学会呼吸療法認定士
・消化器内視鏡技師
・臨床ME専門認定士
・排尿機能検査士