病理診断科

患者の皆様へ

病理診断科は中央診療部門の一部門として、診療の質を担保する役割を担っています。ここでは患者の皆様に対し、病理部門の一般的な役割と、和泉市立総合医療センター病理診断科の特色をご紹介いたします。

病理診断の役割は何か?

望ましい医療として、『診断を確かめて』から治療することが重要であることはご理解いただけると存じます。もし胃に病変があり、バリウム造影検査などで癌が疑われた時、内視鏡検査で胃粘膜から小さな標本を一部採取し(生検と呼ぶ)、組織診断と呼ぶ病理学的検査を行います。癌があることを組織学的に確かめてから、外科治療(手術)に踏み切ります。癌でないことが判明すれば、胃摘出術をせず、内科的な治療を行います。もし癌であることを確かめないで、手術や化学療法を行ったとき、どのような不都合があるでしょうか?言い換えますと、癌を確かめないで癌治療を行った場合どのようなことが起こるでしょうか?術後に『癌でなくてよかったですね!』と言われる患者ができることになります。胃を摘出すると、胃を失うことによる多くの病状(胃切除後症候群)に苦しむ患者が生まれます。我々病理医は、避けることの可能な合併症で苦しむ患者を、病理検査で癌の有無を確かめることにより、なくすことができると信じ業務を行っています。
確かめてから癌治療に踏み切るのが、がん診療の基本原則です。ここに病理部門の役割があります。遺伝子検査などの多くの技術の進歩した現在でも、病理診断を超える方法はないと考えられています。そのため、がん診療連携拠点病院では病理は必須部門とされています。また、がん保険の給付請求に病理診断書の添付が義務づけられている理由もご理解いただけると存じます。病理診断が最も精度の高い癌の診断方法と考えられているからです。

病理診断の方法/種類

病理診断には以下の6種類の方法があります。日本病理学会のホームページで市民向けに分かりやすく解説されています。ご興味のある方はご覧ください。

細胞診断
痰や尿の中のがん細胞を顕微鏡で調べるのが細胞診断(いわゆる細胞診)です。
子宮がん検診では、子宮頸部や体部から細胞をこすりとって調べます。
甲状腺や乳房などにしこりがあると、針を刺して吸引し細胞をとります。
主に悪性かどうかの診断をします。
生検組織検査
胃・大腸や肺の内視鏡検査の際に病変の一部をつまみ取ったり、皮膚などのできものの一部をメスで切り取った組織を顕微鏡で観察します。
この検査を「生検(せいけん)」と言い、その診断を生検組織診断と呼びます。
どのような病変なのか、腫瘍であるのか、腫瘍であれば悪性かどうかの診断をします。
手術で摘出された臓器・組織の診断
摘出された臓器、組織は、病理医が肉眼で病変の部位、大きさ、性状、広がりを確認し、診断に必要な部分を切り取り、臨床検査技師が顕微鏡標本を作製します。
この標本を病理医が顕微鏡で観察し、病変の種類、手術で取り切れているか、がんの場合、悪性度や進行の程度、転移の有無など、治療方針決定に役立つ情報を臨床医に提供します。
手術中の迅速診断
内視鏡で到達できない部位や、生検が難しく手術前に病理診断がつかない場合には、「術中迅速診断」を行います。
手術中に採取された病変から10分~15分程度で病理診断が行われます。
病変の種類、悪性かどうか、切除断端にがん細胞が残っていないか、転移はないかなどを調べ手術中に執刀医に連絡し、手術方針が決定されます。
分子病理診断
当院では、腫瘍のもつ分子異常、遺伝子異常を解析し、患者さんの治療方針の決定に有用な情報を提供しています。当院で行われるがん治療に関連する主な腫瘍遺伝子検査(外注検査を含めて)を担当しています。
病理解剖
ご遺族の承諾のもとに、病死された患者さまのご遺体を解剖させていただくのが「病理解剖」です。
生前の診断が正しかったか、どのくらい病気が進行していたのか、適切な治療がなされていたのか、治療の効果はどれくらいあったのか、死因は何か、といったことを検討します。
病理解剖の結果が蓄積されることによって、他の方法では得難い医学の進歩への貢献が期待されます。

和泉市立総合医療センターの病理業務実績

2020年4月現在、常勤病理医2名、非常勤病理医7名、臨床検査技師4名(日本臨床細胞学会認定細胞検査士3名)が病理部門に所属しています。これらの人員で以下の業務を担当しています。業務量は年々増加しアクティビティーは飛躍的に向上しています。

病理診断件数 病理迅速診断 細胞診件数 病理解剖
2015年 2500 87 4075 2
2016年 2507 77 3768 11
2017年 3673 107 3756 5
2018年 6440 150 4707 5
2019年 7501 202 5568 1
2020年 7350 200 5828 4

※病理診断科は診断業務以外にも、各科、各グループとの術前・術後の症例検討会、解剖症例の臨床病理検討会(CPC)などに積極的に関与し、また学会活動における臨床各科の要望にもできる限り協力しています。

和泉市立総合医療センター病理診断科の特色

和泉市立総合医療センター病理診断科は、上記の病理業務のすべての項目(一部外注検査を含めて)を実施しています。これに加えて、2020年より、日本病理学会、和泉市の後援を得て、病理組織標本のバーチャル化(電子化)に取り組みます。これによりインターネット回線を通して、世界中の病理医と意見交換が可能になります、診断/治療のばらつきが、今まで医療の世界では大きな問題となっていました。病理診断も例外ではなく、一つの標本で、悪性(癌)と良性(癌ではない)に、意見が分かれることが、稀にあることが知られています。これを防ぐため、和泉市立総合医療センター病理診断科では、国内の複数の病理医、アジア、欧米の病理医とネットワークを構築し、インターネット上で意見交換し、より客観性の高い、より精度の高い病理診断を目指しています。

スタッフ紹介

覚道 健一
病理診断科特別顧問・がんゲノム医療センター長・甲状腺疾患センター長 覚道 健一(かくどう けんいち)
資格:

日本病理学会病理専門医・指導医・名誉会員
日本臨床細胞学会細胞診専門医・指導医・名誉会員
日本臨床内分泌病理学会 名誉会員
日本内分泌学会 功労評議員
日本甲状腺学会 功労評議員
国際細胞学会評議員(FIAC)

太田 善夫
特別顧問・病理診断科部長 太田 善夫(おおた よしお)
資格:

日本病理学会認定病理医・専門医・指導医
日本臨床検査医学会専門医・臨床検査管理医
日本専門医機構病理専門医・臨床検査専門医
日本臨床細胞学会細胞診専門医・指導医
死体解剖資格
インフェクションコントロールドクター(ICD)

常勤 佐野 寿郎(さの ひさお)