リハビリテーション部

スタッフ

2024年4月現在、理学療法士25名、作業療法士11名、言語聴覚士5名が勤務しています。

当科の特徴

術後のリハビリから緩和医療まで、各々の領域で専門性を生かした治療を行っております。
特に、急性期は発症、手術翌日からベッドサイドでの動作練習など、多くの疾患の患者さんに携わり、身体の機能回復・維持に努めています。

施設基準

脳血管疾患等リハビリテーション
運動器リハビリテーション
呼吸器リハビリテーション
心大血管疾患リハビリテーション
がんのリハビリテーション

スタッフ取得資格一覧

呼吸療法士
心臓リハビリテーション指導士
糖尿病療養指導士
介護支援専門員
リンパ浮腫療法士
認定理学療法士(運動器・循環器)
福祉住環境コーディネーター
日本離床研究会 運動器インストラクター
がん支援相談員

対象疾患

リハビリテーション科の主な対象疾患は整形外科(人工関節置換術後・上下肢骨折後・脊椎疾患術後など)、呼吸器内科(慢性閉塞性肺疾患の急性増悪、肺炎など)、循環器内科(急性冠症候群、心不全など)、腫瘍内科(臓器にかかわらず化学療法目的や緩和ケア病棟終末期まで)、神経内科(神経難病疾患)、外科(腹部・胸部外科術後など)、脳神経外科(脳卒中、脳神経外科疾患など)、血液内科などと幅広く対応しております。

治療内容

理学療法


治療目的
整形外科・外科の手術後や内科疾患・脳神経疾患の急性期を中心に、早期離床と身体機能向上を目的に運動療法を実施しています。また、内科・外科治療中の機能低下予防など様々な疾患に対する理学療法を実施しています。
訓練内容
・基本動作練習(寝返り・起き上がり・座位・立ち上がり・立位・歩行等)
・関節可動域訓練・筋力増強訓練・持久力訓練・協調性訓練・全身調整訓練
・呼吸・排痰訓練
・手術後の早期離床の促進
・物理療法(温熱療法等

心臓リハビリテーション


治療目的
心筋梗塞・狭心症・心臓手術後の低下した体力を回復し、心臓病の再発を予防しながら質の良い生活を取り戻す為に、他職種とも連携をとり、急性期から維持期に至るまで包括的な心臓リハビリテーションを提供しています。
訓練内容
・基本動作練習
・エルゴメーター(自転車漕ぎ)による運動強度・運動耐容能の改善
・生活指導

当院心臓リハビリテーション(以下心リハ)では心リハ指導士5名(理学療法士3名、医師2名)が在籍し、運動療法を中心に幅広く実施しております。また心不全療養指導士を看護師2名、薬剤師1名、管理栄養士1名が取得しており、再発予防に向けて多職種で取り組んでおり、心臓病教室の実施など多面的な介入を行っております。入院急性期から心リハ介入を行い、退院後のフォローアップ、維持期における外来心リハと継続的な介入を行い、生活指導・食事指導・服薬指導・禁煙指導や職場復帰・心配ごとの相談・カウンセリングなどを行っております。また心肺運動負荷試験(CPX)も積極的に行っており、運動処方の作成や運動耐容能評価、治療効果判定、息切れの鑑別、症状の評価などを行っております。
 循環器疾患患者の高齢化・心不全パンデミックによる患者の激増のなかで、心リハの重要性は益々高まるものと考えております。またフレイルやサルコペニアといった心身の機能低下は循環器疾患に高率に合併し、その改善・予防は非常に重要となっております。当院心リハでは、高齢患者に対しても早期介入とテーラーメイドの心リハ提供を行っております。

実際の心リハの様子

①運動療法開始前に体調のチェックを行います。血圧・体重測定・ハートノートの確認などを行います。
②ウォーミングアップ、準備体操を行います。
③自転車エルゴメーターでの有酸素運動、レジスタンストレーニングを行います。

心肺運動負荷試験(CPX)

心肺運動負荷試験(cardiopulmonary exercise testing:CPX)は呼気ガス分析を併用して行う運動負荷試験で、労作時の心肺機能を総合的に評価し、運動耐容能や治療効果判定の評価に用いられる有用な検査です。当院では安全かつ有効な心リハのために積極的にCPXを行っております。

目的
  • ①運動処方の作成
  • ②運動耐容能・症状の評価
  • ③治療効果の判定
CPXの様子(医師・看護師・理学療法士で実施しています)
対象疾患
冠動脈疾患 急性心筋梗塞
狭心症
心不全 急性心不全
慢性心不全
心臓手術後 冠動脈バイパス術後
TAVI後
弁膜症手術後
不整脈、デバイス植え込み後
VAD装着後
心臓移植後
肺高血圧症
大血管疾患 大動脈解離
大血管術後
ステントグラフト術後
抹消動脈疾患

*1:慢性心不全はLVEF40%以下、peak VO2が80%以下、BNP80pg/mLまたはNT-proBNPが400pg/mL以上のいずれかを満たす場合
*2:末梢動脈閉塞性疾患で、間欠性跛行を呈するもの
*3:不整脈、肺高血圧症などにより一定程度の呼吸循環機能の低下および日常生活能力低下を来しているもの


2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
心大血管リハ
(入院)
4273 4789 4439 5131 3838
心大血管リハ
(外来)
1036 829 437 1223 1215
CPX 41 107 85 79


ロボットスーツ HAL


治療目的
心脳から筋肉へ流れる微弱な生体電位信号を、身体に装着されたセンサーが感知し「立つ」・「歩く」といった身体運動を支援します。緩徐進行性の神経・筋疾患(保険診療での適応と認められる神経難病には以下の8疾患に限られます。脊髄性筋萎縮症・球脊髄性筋萎縮症・筋萎縮性側索硬化症・シャルコー・マリー・トゥース病・遠位型ミオパチー・封入体筋炎・先天性ミオパチー・筋ジストロフィー)により歩行機能が低下された患者さんに対し、身体・呼吸機能の維持・改善を目的に実施しています。
訓練内容
・ロボットスーツ HALを装着しての歩行訓練

作業療法


治療目的
骨折等の整形外科疾患、脳血管疾患後の後遺症、肺炎を含む抗生剤治療後の体力低下を伴う様々な患者さんに対し、退院後もスムーズに日常生活が行えるよう、運動機能の回復や動作の練習、環境調整等を行っています。
訓練内容
・基本的能力訓練(運動機能・感覚機能の回復に向けた訓練、高次脳機能障害等の精神機能の訓練)
・応用的能力訓練(日常生活動作・家事動作など)
・環境調整(福祉用具等の評価・提案)、ご本人・ご家族への指導

作業療法の訓練

作業療法室
作業を用いた機能訓練の様子
上肢の筋力低下や運動麻痺のある方に対して、アームサポートを用いた食事動作訓練の様子
ADLシミュレーターでの入浴動作評価・訓練

集団活動

月に1回OT室内で実施している集団活動

緩和ケア病棟

テラスでの散歩の様子

勉強会・症例検討会

月に2回、勉強会や症例検討会を開催しています

スタッフ紹介 基本方針

作業療法科スタッフ
基本方針:「患者様主体の作業療法を提供する」

言語聴覚療法


治療目的
急性期の脳血管疾患や呼吸器疾患を中心に、摂食・嚥下障害や言語障害に対するリハビリテーションを実施しており、摂食嚥下においては必要に応じて嚥下造影検査も行っております。また、小児では話し言葉を中心に外来の言語訓練を行っています。
訓練内容
(入院)
摂食嚥下訓練(食べる飲み込む障害に対する訓練)
失語症訓練(話す・聞く・読む・書くことができないことに対する訓練)
構音訓練(麻痺などによる口腔器官の動作困難に対する訓練)
高次脳機能訓練(記憶や注意力など脳の機能に対する訓練)
(外来)
言語訓練(構音訓練、言語発達訓練など)

言語聴覚室

当院の言語聴覚士(以下ST)は、現在4名が在籍しており、入院患者様には摂食嚥下訓練や言語訓練などを行っており、外来患者様に対しては小児を中心に言語訓練を行っております。


(入院)

○摂食嚥下訓練

肺炎などで入院時に絶食である患者様で今後食事を検討されている場合は段階を追って訓練を行い、食事開始できるように努めています。また、より安全に食事を摂っていただける様に食事形態の提案なども行っています。さらに、脳神経内科では必要に応じて嚥下造影検査も行っております。


嚥下訓練の様子

嚥下造影検査の様子

○失語症訓練・構音訓練・高次脳機能訓練

 病気や怪我などによって脳が損傷を受けたために一度は獲得した「話す」・「聞く」・「読む」・「書く」ことが困難になった(失語症)患者様に言語の評価を行い訓練へと進めております。また、麻痺などにより口腔器官の動作が困難になり話しにくくなった(構音障害)患者様に対しても言語訓練を行っております。その他、損傷された脳の部位によって生じた記憶や注意力などの高次脳機能障害に対しても評価を行い訓練へと進めております。


失語症評価の様子

(外来)

○言語訓練

 外来の言語訓練は主にお子様が対象となります。発音をうまく獲得できずにカ行やサ行がタ行に近い発音になったり、話し方が喉詰めのような発声になるなどの話し方(機能性構音障害)に対して言語訓練を行ったり、自閉症スペクトラム障害を有するお子さんなどに対してコミュニケーション訓練や言語発達訓練を行っています。


小児外来の様子


がんのリハビリテーション

がんのリハビリテーションとは

がんのリハビリテーション(以下、リハビリ)は、患者さんの回復力を高め、残っている能力を維持・向上させ、今までと変わらない生活を取り戻すことを支援し、患者さんの生活の質を大切にします。
がんになると、がんそのものや治療に伴う後遺症や副作用などによって、さまざまな身体的・心理的な障害を受けます。がんのリハビリは、がんと診断されたときから、障害の予防や緩和、あるいは能力の回復や維持を目的に、リハビリを行います。

病気別のリハビリテーションの目的

当院のリハビリテーションの体制

①スタッフ
治療を担当する医師や看護師、リハビリ医、リハビリスタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が十分にコミュニケーションを図り、リハビリの治療計画を共有し、また義士装具士・臨床心理士・管理栄養士・歯科衛生士等も入りチーム医療を行っています。
また、がん支援相談員の資格を持ったスタッフは、がん支援相談にも携わっています。
※「がんのリハビリテーション研修」(厚生労働省委託事業)その他関係団体が主催する研修を受けています。

がんのリハビリテーション研修終了医師
大田 隆代
澤田 隆吾
文元 雄一
川原 玲子

②カンファレンス
定期的なカンファレンスを各科と実施しています。(キャンサーボードにも参加しています)


当院のキャンサーボード風景

③当院のがんリハビリテーションの対象者・実績
手術や化学療法、放射線治療などを受けられる患者さんに対して、術前より介入し予防的・回復的リハビリテーションや、治療に伴う合併症を予防し後遺症を最小限に抑えるこるためにリハビリテーションを行います。また、積極的に治療が受けられなくなった時には緩和的リハビリテーションを行います。がんの進行とともに体力が低下し、日常生活動作も少しずつ障害されてくる場合でも、最後まで自分で動いたり、食べたり、排泄したり、話したりすることができるようにサポートします。

④当院の主な対象疾患
がん患者リハビリテーション料の対象となる患者さんは、入院中のがん患者さんです。

胸部・腹部のがん 食道がん、肺がん、縦隔腫瘍、胃がん、肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がん、大腸がん等
頭頚部のがん 舌がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん等
四肢・骨格のがん 骨軟部腫瘍又はがんの骨転移疼等
脳のがん 原発性脳腫瘍又は転移性脳腫瘍等
血液腫瘍 白血病、悪性リンパ腫等
その他 化学療法が行われ、緩和ケア主体で治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって、症状増悪のため一時的に入院加療を行っており、在宅復帰を目的とした患者さん

⑤実績

2022年 8880件 13694単位
2023年 11049件 17817単位

緩和病棟介入件数

2022年 6184件
2023 6054件