呼吸器外科

手術治療について

はじめに

呼吸器外科では原発性肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍を中心とした胸部の悪性腫瘍と自然気胸、胸部外傷に対する外科治療に対して、2018年4月より呼吸器外科を専門とするスタッフ2名を中心に取り組むことになりました。患者さんへ最良で安全な医療を提供できるように、日々心がけています。ここでは、当院で行っている手術治療について、原発性肺癌、縦隔腫瘍、自然気胸に対しての手術について説明させていただきます。

原発性肺癌

肺は左右に5つの袋(肺葉)からなります。肺癌に対する手術は、癌のある肺葉とその周囲のリンパ節を切除することが基本です。これを肺葉切除術、縦隔リンパ節郭清と呼びます。病変の部位と大きさ、呼吸機能などから適切な術式を選択します。当科では開胸手術(12~15cmの皮膚切開)と胸腔鏡補助下手術(7cmの皮膚切開で胸腔鏡を使用しモニターを見ながら行う)を行っています。

肺切除術後の訪問看護・在宅呼吸リハビリは呼吸機能を改善し、退院後の在宅療養を安心して過ごしていただくことが可能になると考えています。この介入による効果を提示します(近畿大学医学部附属病院呼吸器外科のデータ)。2017年4-11月より32名の肺切除後の患者さんに対して、退院後の訪問看護と呼吸リハビリの介入(退院後2週間まで連日、以後週1-2回)を行いました。SpO2(動脈血酸素飽和度)は最大100%で90%以下は低酸素状態、6分間歩行は6分間で歩行できた距離を示します。また、hospital anxiety & depression (HAD)スケールは不安と抑うつ状態の評価に用いられ、3段階(あり、疑い、なし)で評価できます。
安静時SpO2、6分間歩行距離は介入により、明らかに改善を認めました。また、17名のうち10名が不安状態、6名が抑うつ状態でしたが、介入により16名に改善を認めました。訪問看護・呼吸リハビリが肺切除後の患者さんに貢献していると考えています。

縦隔腫瘍

左右の肺に挟まれた部分を縦隔と呼びます。ここには心臓、食道などが存在しています。この部分に発生する縦隔腫瘍は良性から悪性腫瘍まで様々です。悪性腫瘍や大きな腫瘍に対しては胸骨正中切開(胸の真中を切開し胸骨を縦切開)を行って腫瘍切除を行っています。最近では、5cm以下で周囲臓器への浸潤がない腫瘍や良性腫瘍、重症筋無力症に対しては、胸骨を切開しない、より低侵襲な剣状突起下胸腔鏡手術(創部は心窩部と胸部の数か所)も行っています。整容性に優れ、疼痛や感染のリスクも低いです。

自然気胸

肺にできたブラと呼ばれる部分が破れて、空気がもれて呼吸困難をきたす疾患です。若い男性に起こることが多いですが、肺気腫などに合併する気胸も多くあります。空気漏れが止まらない場合や再発の場合は手術を積極的に行っています。手術は胸腔鏡下でブラを切除します(胸部に2cmの傷を3箇所)。最近では非常に細い器具(注射針程度)を用いて、傷を少なくする工夫もしています。手術時間は約1-2時間、術後数日で退院となり、早期社会復帰・通学が可能となっています。

おわりに

当院では地域の総合医療センターとして、院内の専門医だけでなく、開業医の先生方や他病院との連携を強固にすることにより、疾患の早期発見や早期治療に努め、迅速かつ質の高い医療を提供し、地域の皆様の健康に貢献できるよう努力を続けて参りたいと考えております。