がん遺伝子診療部門

遺伝性乳がん
卵巣がん症候群

乳がんの約5-10%、卵巣がんの約10%は遺伝性と考えられ、そのひとつがBRCA1/2遺伝子の病的な変異を原因とする「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」です。
この遺伝子検査を実施しBRCA1/2遺伝子に病的な変異があることが分かった場合、HBOCと診断されます。この遺伝子変異は親から子供に引き継がれる可能性のある遺伝子変異であり、特定のがん(乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵臓がん)になりやすい個性を次世代に引き継ぐ可能性があります。男女に関係なく親から子供に50%の確率で引き継がれます。引き継がれたとしてもがんが発症する可能性は100%ではありません。
多くは成人以降にがんを発症しますが、一般人口の発症年齢に比べ若い傾向にあります。ひとりで複数のがんを発症することもあります。遺伝性乳がん卵巣がん症候群の詳細についてはこちらをご覧ください。
従来、乳がんや卵巣がんが家系内に多数いる場合、予防医学的な観点から自費診療としてBRCA遺伝子検査は行われてきました。しかし、2018年7月再発乳がんに対して、2019年6月進行卵巣がんに対してBRCA1/2遺伝子検査は治療薬の選定(コンパニオン診断)を目的として保険適応となりました。乳がんや卵巣がんの治療の過程でHBOCの診断に至るようになりました。また、2020年4月に条件を満たす乳がん、卵巣がんに対してBRCA1/2遺伝子検査はHBOC診断目的に保険適応が広がりました。さらにサーベイランスのための画像検査、予防的乳腺摘出術、予防的卵巣卵管摘出術も保険で行うことができるようになりました。

BRCA遺伝子検査

BRCA1/2遺伝子検査は遺伝性乳がん卵巣がん症候群の診断目的で行う場合と進行・再発乳がん卵巣がんに対して治療薬の選定(コンパニオン診断)のために行う場合があります。
検査は採血で行います(採血量は約7ml)

遺伝性乳がん卵巣がん症候群診断目的の検査

下記にあてはまる患者

  1. 45歳以下の乳がん
  2. 60歳以下のトリプルネガティブ乳がん
  3. 2個以上の原発性乳がん(同時性、異時性は問わない)
  4. 第3度近親者内に乳がんまたは卵巣がんの家族歴を有する乳がん
  5. 男性乳がん
  6. 卵巣がん、卵管がん、腹膜がん

進行卵巣がんに対しての治療薬(オラパリブ)の適応判定のための検査
再発乳がんに対しての治療薬(オラパリブ)の適応判定のための検査

BRCA遺伝子検査費用

検査自体の費用は3割負担で60,600-(1割負担で20,200-)です。検査時には診察料、採血料、カウンセリング料などが別途必要になります。

BRCA遺伝子検査結果

検査の結果は以下の3つで返ってきます

  1. 病的変異あり:BRCA遺伝子に変異をみとめ、それは病的変異である(HBOCの確定診断)
  2. 病的変異なし:BRCA遺伝子に変異なし、または変異をみとめるが病的変異ではない
  3. 意義不明な変異:現時点では病的とも病的でないとも言えない変異をみとめる

HBOC診断の流れ(拾い上げ)

乳がんの場合

  1. 乳腺外科医が既往歴および家族歴の問診をとりカルテ記載を行います
  2. BRCA検査基準を満たす乳がん患者に対してがん遺伝子診療部門から患者に情報提供を行います
  3. BRCA検査を希望した場合、がん遺伝子診療部門でBRCA検査を施行します
  4. 病的変異をみとめた場合、がん遺伝子診療部門で適切なサーベイランスを提供するとともに家系内フォローを開始します

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんの場合

  1. 粘液性がんを除く上皮性卵巣がんに対して婦人科が患者に情報提供を行います
  2. BRCA検査を希望した場合、婦人科でBRCA検査を施行します
  3. 病的変異あり、あるいは意義不明な変異をみとめる場合はがん遺伝子診療部門で適切なサーベイランスを提供するとともに家系内フォローを開始します

サーベイランス(見守り)

・乳がんについて
年に1回の乳房MRIと6か月に1回の超音波またはマンモグラフィー
予防的乳腺摘出術についてカウンセリングを行い希望者は乳腺外科に紹介します

・卵巣がんについて
予防的卵巣卵管切除術を希望された場合は婦人科へ紹介をします
予防的切除を希望しない患者については年に1回の骨盤MRIと3-6か月に1回の経腟超音波および腫瘍マーカー(CA125)を行います
*定期検査により卵巣がんの早期発見は困難で、予防的卵巣卵管切除以外では死亡率の低下をみとめません

予防的乳腺摘出術、予防的卵巣卵管摘出術を当院で施行できるよう乳腺外科、形成外科、婦人科の協力のもと体制整備をすすめています

家系内フォロー

がん遺伝子診療部門では血縁者への対応も行っています。血縁者への情報提供や遺伝子変異が引き継がれているかを調べることが可能です。血縁者への検査については自費診療となります。

検査費用
遺伝カウンセリング:初診10,000 再診5,000
遺伝子検査:50,000

遺伝子検査によりBRCA遺伝子変異の保因者の診断となればその後も継続してがん遺伝子診療部門でフォローをさせていただきます

ご不明な点や質問については電話またはメールにてお問い合わせください
メール:yusuke.nakano@tokushukai.jp
電話:地域連携センター 0725-41-3150
FAX:0725-41-2513