脳神経外科

機能的脳外科

三叉神経痛

三叉神経痛という病気があります。ひたい、ほほ、あごの3つの領域の感覚は三叉神経によって感知されます。
感知された信号は三叉神経によって伝わり、頭蓋骨にあいたあなから骨の内側に入り、脳幹、大脳で処理されます。
三叉神経が頭蓋骨の内側に入り込んだ部位から脳幹に入るまでの間で、血管(動脈・静脈)と接触したり、ねじれやひきつれがあったりすると、顔面の感覚障害ではなく、激痛を起こすことがあります。顔を洗う、歯を磨く、食事をするなどの誘因があると、耐え難い電激痛を起こすのが特徴です。

三叉神経痛の治療は大きく3つあります。
①薬物治療
②開頭手術
③放射線治療(ガンマナイフなど)
です。

①の薬物療法はカルバマゼピンという薬を使用します。
①はまず行う治療となります。薬剤を効果のある量まで増量しますが、ふらつき、眠気や発疹などの副作用で、使用のできないことがあります。MRI検査で三叉神経と血管との接触や走行のねじれが診断されると、②の微小血管減圧術といわれる開頭手術が考慮されます。
顔面けいれんの手術と同じような手術になりますが、開頭する部位と頭蓋内での操作が異なります。
全身麻酔で体を真横に傾けた姿勢で手術を行います。耳の後ろで、大きな静脈(心臓に戻る血管)の曲がり角の部分に、小さな穴をあけます。そこから三叉神経の全貌を観察し、血管との圧迫やねじれなどを、顕微鏡を用いて解除します。ほとんどのものが、三叉神経が脳幹から出た部位での動脈による圧迫です。

その他にも静脈による圧迫、動脈と静脈の混合による圧迫、血管の圧迫がないもの(ねじれやひきつれ)などがあります。

85%以上で完全除痛(約1か月かけて消失)、残りで不完全除痛が得られます。しかし、約5%で再発の可能性があります。圧迫血管が静脈である、症状の持続期間が長いなどの場合が再発しやすいとされます。
③の放射線治療も痛みの消失効果がありますが、当院ではすすめていません。三叉神経を破壊するため長期的に顔面に異常感覚を呈することがあるためです。

顔面けいれん

顔面けいれんという病気があります。片側の目や口の周りがけいれんにより引きつれを起こし、意識的に止めることができない病気です。命にかかわる病気ではありませんが、けいれんが気になり日常生活に影響がある場合は、治療する方法があります。

顔面神経は脳幹という場所から始まり、耳の後ろにある頭蓋骨の穴を通り、目の周囲の筋肉(眼輪筋)や口の周囲の筋肉(口輪筋)などに終わります。顔面神経により興奮が伝わると筋肉が動くしくみです。顔面神経が脳幹から出る部分に血管が接触すると、血管の拍動が顔面神経を刺激します。この刺激により顔面けいれんの起こること(ほぼ眼輪筋から)があります。

治療方法

顔面神経の治療は、大きく二つあります。①手術により顔面神経と血管が接触する部位を解除するものと、②ボトックスという筋肉をゆるませる薬剤を眼輪筋・口輪筋などの筋肉に注射する方法です。どちらの治療も顔面けいれんのよい治療であり、患者さんの希望にあわせて治療が行えます。上記①、②の治療法があることを知っていただくことが大切です。

1 手術(微小神経血管減圧術)の場合

脳神経外科で行う①の治療は、微小血管減圧術といわれるものです。全身麻酔で体を真横に傾けた姿勢で手術を行います。耳の後ろの乳様突起という飛び出した頭蓋骨の後ろに、小さな穴をあけます。そこから顔面神経と血管との圧迫を、顕微鏡を用いて解除します。直後に顔面けいれんが消失するものから数か月で消失するものなどがありますが、95%以上の確率で根治が期待できます。


2 ボトックスの場合

筋肉をゆるませる薬剤を眼輪筋・口輪筋などの筋肉に注射する方法です。