令和元年度 和泉市立総合医療センター 病院指標

年齢階級別退院患者数

2019年度患者さんの人数を10歳刻みの年齢階級別に集計しています。年齢は入院時の年齢です。当院の入院患者さんは60歳以上に占める割合が全体の69.9%、80歳以上が21.6%と比較的高齢の患者さんが多く占めています。一方、当院には小児科がありますので、10歳未満の入院患者さんが8.9%と一定数を占めています。
入院患者さんの疾患として、当院の多くを占める60歳以上の患者では、呼吸器領域をはじめとする悪性腫瘍の患者が多く、その他の主な疾患としては、股関節・大腿骨折、不整脈、心不全、脳卒中、神経疾患、間質性肺炎、誤嚥性肺炎などが主となっています。

診断群分類別患者数等（診療科別患者数上位５位まで）

感染性疾患、アレルギー性疾患等を中心に入院を受け入れております。近隣の先生方からの紹介患者様や夜間の小児救急(輪番制)の時間帯、救急車にて搬送された患者様の入院も多く受け入れております。専門的な治療を要する患者様や、自宅が当院から遠方の患者様については他病院に紹介(転院)させていただいております。

外科では消化器・呼吸器・乳腺を各々専門とする医師が協力し、チームとして診察にあたっています。
呼吸器外科では肺癌・縦隔腫瘍・胸膜疾患・気胸・膿胸などの疾患に対し呼吸器内科・腫瘍内科と連携し手術治療を行っています。消化器外科では胃癌・大腸癌・肝癌・膵癌などの消化管癌・胆石・ヘルニアなどの良性疾患、虫垂炎・消化管穿孔などの急性腹症に対し、消化器内科・腫瘍内科と連携し外科的治療を行っています。また乳腺外科では乳癌、乳腺良性腫瘍（乳腺腺腫や葉状腫瘍）に対する手術、または再発乳癌に対する最新の抗がん剤治療を腫瘍内科と連携し行っています。

整形外科領域では、高齢化に伴い変形疾患および骨粗鬆症に関連した骨折が増加しており、それらを対象とした診察を行っています。地域中核病院として内科の協力を得て、心疾患・呼吸器疾患がある方や高齢者に対する手術を中心とした治療に重点をおいています。主に変形性疾患（変形性股関節症・変形性膝関節症・脊柱管狭窄症など）や大腿骨近位部骨折（頸部骨折・転子部骨折）、脊椎椎体骨折に対する急性期治療を行っています。

眼瞼下垂はメディアで取り上げられる機会が多くなり、手術が増加してます。眼瞼下垂の他、高齢化に伴い内反症（逆まつ毛）の手術も近隣の眼科よりご紹介いただき、増加してます。
骨折を含む顔面外傷や良性腫瘍は整容的に問題となり、社会復帰する上で重要であるため、力を入れて診察しております。。

脳神経外科に入院となる患者さんの約55％は脳血管障害（脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血）です。未破裂脳動脈瘤、顔面けいれん、良性・悪性脳腫瘍などに対して治療を行っております。

当院の耳鼻咽喉科は入院加療を要する急性扁桃炎や扁桃周囲膿瘍、急性咽頭蓋炎などの急性疾患による入院が多い。まためまいや突発性難聴にも対応しており、他科との連携を図りながら治療を行うことが可能である。

泉南地域における脳神経内科の基幹病院として髄膜炎、脳炎、脳症、痙攣性疾患、さらにはギランバレー症候群などの神経救急疾患に対応しています。その他、多発性硬化症、視神経脊髄炎、重症筋無力症などの免疫性神経疾患における血液浄化療法などの専門的治療にも対応しています。神経変性疾患においてはパーキンソン病における経腸持続Lドパ療法（デュオドーパ®）を得意分野としています。

当時皮膚科の特徴として、重症の帯状疱疹や蜂窩織炎などの感染症の緊急入院が多いことがあげられます。内服などの通院加療で改善がない場合には、すみやかに入院し点滴加療を開始します。重症化する場合には、基礎疾患があることが多いため、症状に応じて全身検索を行います。皮膚悪性腫瘍では、侵襲のある手術、抗がん剤や放射線治療を行う場合には入院となることがあります。アトピー性皮膚炎等の炎症性疾患が悪化した場合にも入院加療を行います。

前立腺生検は昨年同様PSA（前立腺がん腫瘍マーカー）高値の紹介が多く、年間139件行いました。

婦人科

婦人科癌として、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌を主に扱っておりガイドラインに準じて治療を行っています。進行・再発悪性腫瘍に対しては、手術療法・化学療法・放射線療法を集約的に活用し治療成績の改善に努めています。一方、子宮筋腫、子宮内膜症などの良性疾患は身体に負担の少ない手術（腹腔鏡下、子宮鏡下手術などの低侵襲手術）に積極的に取り組んでいます。また婦人科急性腹症や合併症で厳重な周術期管理を要するケースも扱っています。挙児希望のある患者に対しては妊孕性温存手術も行っています。子宮頸癌ワクチン接種も行っています。

呼吸器内科

呼吸器内科は肺、胸膜、縦隔の悪性腫瘍に対する診断部門を担っており、肺の悪性腫瘍の在院日数が短いのは診断目的の気管支鏡検査入院によるものです。間質性肺炎の急性増悪時の治療や、抗線維化薬の導入目的、在宅酸素療法導入目的など多岐に渡っています。誤嚥性肺炎の罹患者の平均年齢が高く、回復に時間がかかり在院日数、転院率ともに高くなる傾向があります。早期に在宅療養や施設に戻れるように入院時より積極的にリハビリを行うようにしています。75歳以上の肺炎患者においても相当数は誤嚥性肺炎によるものと考えています。慢性閉塞性肺疾患は感染に伴う急性増悪が主であり、こちらも早期に呼吸リハビリテーションを併用し離床できるように努めております。

循環器内科

当科が担当する疾患の多くは動脈硬化を基盤とする虚血性心疾患および心不全であり、心エコー図、冠動脈CT、心筋シンチ、心臓カテーテル検査といった高機能機器を駆使した診断を適切に行い、薬物治療に加え、必要に応じ冠動脈や下肢動脈のインターベンション治療を行っています。不整脈に関してはペースメーカ植え込み術のみならず、昨年から頻脈性不整脈に対するアブレーション治療も開始しており診療範囲が広がっています。
当院の特徴としては10年以上前から心臓リハビリに積極的に取り組んでいる事があげられ、再発予防に効果をあげています。

内分泌・糖尿病内科

糖尿病につきましては、軽症の教育入院から重症の糖尿病性ケトアシドーシスまで対応しております。患者教育と適切な薬物治療に注力しています。下垂体、副腎、電解質異常などの診断困難な内分泌疾患の診断と治療も行っています。甲状腺疾患は入院治療を要することは少ないですが、様々な甲状腺疾患の治療も行っています。

血液内科

和泉市立総合医療センターに血液内科を立ち上げて2年目になる。病床数20床で、そのうち3床はクリーンルームである。なお令和2年度に約10床のクリーンルーム増設が予定されている。当科は日本血液学会専門研修認定施設であり研修医の受け入れを行っている。また新規造血器疾患は全例日本血液学会に登録している。今年度の入院疾患は多いものから非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫などの順で、造血器悪性腫瘍が主であるが、貧血性疾患や特発性血小板減少性紫斑病なども入院治療対象となる。移植については、非ホジキンリンパ腫や多発性骨髄腫に対する自己造血幹細胞移植5例、急性白血病に対する同種造血幹細胞移植5例となっている。

消化器内科(内視鏡)／肝胆膵内科

当院は平成30年4月より消化器内科(内視鏡)と肝胆膵内科と分けております。消化器内視鏡の件数は増加しており、治療必要な良性疾患・悪性腫瘍の患者数も増加しております。新設しました肝胆膵内科では指導医2名と若手1名の3名が常勤として診療にあたっています。肝癌に対する各種治療、肝疾患診断のための肝生検、ウイルス肝炎に対する経口剤治療などを行っています。

リウマチ・膠原病内科

当科は2018年4月に新設され、現在常勤3名、非常勤1名で診療を行っている。
リウマチ膠原病疾患は診断技術の進歩、様々な分子標的薬の開発によって以前は治療が困難であった疾患も寛解が期待できるようになった。とくに関節リウマチの研究はめざましいものがあり、早期発見早期治療を行えばほとんどの関節リウマチは寛解させることができるようになった。
当科では、最新の知識に基づき、個々の患者に応じた最も最適な治療を行っていく。様々な分子標的薬を採用しており、必要な患者に対しては積極的に導入を行っていく。
泉北地域はリウマチ膠原病専門医が非常に少なく、最近その医師の数がさらに減少傾向にあり、リウマチ膠原病疾患を扱う中核的な病院の数も減少してきている。当科は泉北地域におけるリウマチ膠原病診療の中隔として役割を果たせるよう取り組みたい。

腫瘍内科

肺癌を中心に化学療法を主体とした治療を行っており、新規治療に関する臨床試験にも取り組んでいます。消化管癌は主に通院で治療を行っていますが、増加傾向となっています。
現在当院は大阪府指定がん診療拠点病院ですが、国指定の地域がん診療連携拠点病院を目指し、泉州地域におけるがん治療の拠点病院として取り組みを続けていきます。

初発の５大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

肺癌、消化管癌、乳癌を中心に5大癌に対する集学的治療を積極的に行っています。
当院は緩和医療にも力を入れており、診断時から緩和ケアの視点を取り入れ、苦痛や不安を出来る限り取り除き、安心して治療を受けて頂けるよう取り組んでいます。緩和ケア病棟も有しており、緩和ケアを主体とした療養にも対応しています。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

肺炎は重症になればなるほど在院日数が長くなります。本来は14日以内の退院が望ましいのですが、重症の場合は在宅酸素療法が必要となることもあり自宅環境を整える時間もかかります。できるだけ早期退院を行えるように、リハビリテーションや医療ソーシャルワーカー、ケアマネージャー等連携をとりながら診療を行っております。

脳梗塞の患者数等

国民病ともいえる脳卒中。血管が詰まれば脳梗塞、血管が切れると脳内出血もしくはくも膜下出血となります。脳梗塞は血管が動脈硬化で詰まる血栓症と別の部位から塞栓物質が流れてくる塞栓症があります。脳出血は脳実質に出血をきたすため高血圧症や血管奇形が原因となります。くも膜下出血はくも膜と脳本体とのすき間に出血します。ほとんどが脳動脈瘤破裂によります。これまでに経験したことのないような激しい頭痛はくも膜下出血を疑う症状で緊急対応が必要となります。

診療科別主要手術別患者数等（診療科別患者数上位５位まで）

2018年度より外科・消化器外科に呼吸器外科・乳腺外科の専門医が加わり、新たな診療体制となって外科手術件数が増加しています。特に肺癌に対する胸腔鏡下肺切除術、乳癌に対する乳房温存手術が増加しています。消化器外科では胆石発作、胆嚢炎、急性虫垂炎などの急性腹症に対する緊急対応できる体制をとっています。呼吸器外科、消化器外科では胸腔鏡や腹腔鏡を積極的に使用し、低侵襲で標準的な手術をこころかけ、乳腺外科では乳房再建も含め、最適な医療が提供できるよう努めています。

当院の特徴は整形外科・人工関節センター・脊椎外科センターで変性疾患の専門的な治療を提供しています。人工関節センターは3D術前計画を行い、脱臼率が低く術後制限が少ない手術法を実施しています。また難易度の高い再置換術・高度変形症例なども他院より受け入れ対応しています。
脊椎外科センターは大阪府下でも少ない脊椎内視鏡専門医が椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症などに対して内視鏡・顕微鏡による除圧術を実施しています。脊柱変形に対する椎体固定術（前方・後方）などそれぞれの病態に適した手法を用いています。
高齢者下肢骨折について受傷から極力早期の手術に努めています。

眼瞼下垂はメディアで取り上げられる機会が多くなり、手術が増加してます。眼瞼下垂の他、高齢化に伴い内反症（逆まつ毛）の手術も近隣の眼科よりご紹介いただき、増加してます。
骨折を含む顔面外傷や良性腫瘍は整容的に問題となり、社会復帰する上で重要であるため、力を入れて診察しております。

脳血管障害の手術は開頭手術、血管内手術（カテーテル）での手術を指導医・専門医が行っています。開頭手術ではいろいろなモニタリングシステムを用いて、より安全な手術をこころがけております。

令和元年度は常勤医1名体制であったため手術内容が制限されていた。令和2年度から常勤医が2名となり、従来より行っていた口蓋扁桃摘出術やリンパ節摘出術に加え、鼓室形成術、鼻内内視鏡手術も積極的に行えるようになった。

悪性黒色腫、基底細胞癌、有棘細胞癌について、皮膚悪性腫瘍切除術を行い、切除範囲が広い場合には、皮弁形成術や植皮術も施行しております。褥瘡については、感染を起こしてポケット形成している場合には、デブリードマンを施行します。皮膚欠損が多い場合には、皮弁形成術を行っております。

膀胱がんに対する経尿道的手術や腎がん、腎盂がん、尿管がんに対する腹腔鏡下手術も昨年と同様の件数を行いました。

婦人科癌手術の多くはリンパ節郭清を同時に行っています。傍大動脈リンパ節郭清を含め徹底的な切除を行い、根治性向上とリンパ浮腫の予防に最大限の配慮を行っています。広汎子宮全摘出術では神経温存手術を多くに行い、排尿障害の予防に努めています。また初期子宮体癌は骨盤リンパ節郭清を含む腹腔鏡手術を行っています。良性疾患では子宮全摘出、筋腫核出術や卵巣腫瘍摘出、付属器摘出術の多くは腹腔鏡手術で行うことが可能になっています。骨盤臓器脱手術では、仙棘靭帯固定術や腹腔鏡下仙骨膣固定術を併用し再発予防に努めています。

胸腔鏡下試験切除術は呼吸器内科が行っている局所麻酔下胸腔鏡による胸膜生検術です。
胸水貯留の原因精査には必要な検査であり、この検査は日本呼吸器内視鏡学会の認定施設で受けるのが望ましいと考えます。血栓塞栓術は喀血患者の治療で行うもので、当院では放射線科の専門医師により治療を行っております。喀血の治療は緊急性が高く、気管支鏡検査、胸部造影CT検査を行い速やかに血栓塞栓術の適応を決定して行きます。呼吸器内科、放射線専門医、看護師、放射線技師の連携が重要です。

侵襲的治療に関してはガイドラインを遵守し適応のある場合に適切に行っています。平成31年度の冠動脈インターベンション治療は計77症例、徐脈性不整脈に対するペースメーカ植え込み術は計27症例、頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーションは計49症例施行し良好な結果を得ています。

当院での内視鏡件数は年々増加しており、特に早期胃癌、食道癌、大腸癌に対するESDは積極的に行っています。又、緊急性の高い消化管出血や急性胆管炎に対しては24時間で対応しています。

その他（ＤＩＣ、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率）

肺炎、消化管穿孔、術後縫合不全などの感染症が重症化し、敗血症やDICという重篤な合併症を引き起こすことがありますが、人工呼吸管理、栄養治療、血液浄化法などの集中治療を行い、回復を図ります。
手術の合併症については、起こりうる合併症について事前に十分な説明を行い同意を得たうえで術式を選択し、極力合併症を起こさないように努めております。
真菌症感染については眼内炎などの重篤な合併症を引き起こす危険があるため、診断が遅れないよう留意し診療にあたっております。

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