鼠径部ヘルニアセンターの開設
2026年6月に鼠径部ヘルニアセンターを開設しました。
鼠径部ヘルニアは高齢者に頻度の高い疾患で、多くの市中病院で手術が施行されています。しかし、鼠径部ヘルニアの病型・病態は多彩、かつ鼠径部の解剖は複雑であるにも関わらず、専門的な質の高い手術治療を提供している施設はまだまだ少ないのが現状です。
そこで、当院では鼠径部ヘルニアの治療に精通した専門医が中心となって、診断や治療方針の決定を厳格に行い、泉州地域の患者様に最適な手術治療を提供することを目的に鼠径部ヘルニアセンターを立ち上げました。
主な対象疾患
◇ 鼠径ヘルニア(外鼠径ヘルニア/内鼠径ヘルニア)
◇ 大腿ヘルニア
鼠径部ヘルニアについて
足の付け根付近の領域を鼠径部と言い、この領域のヘルニアを鼠径部ヘルニアと言います。
鼠径部ヘルニアには鼠径ヘルニアと大腿ヘルニアの2種類があり、前者は高齢男性に多く、後者は高齢女性に多いのが特徴です。
<成因>
腹腔内にはさまざまな臓器(小腸・大腸・脂肪組織など)がおさまっています。これらの臓器が腹腔内におさまるように壁となっているのが、腹壁を構成している筋肉や筋膜です。しかし、加齢などによって筋肉や筋膜が弱くなると、特に鼠径部の筋肉の壁に穴(ヘルニア門)があいたような状態になります。腹腔内の臓器がこのヘルニア門を通って腹腔外にとび出し、鼠径部が膨隆した状態になる疾患が鼠径部ヘルニアです。

<症状>
立位で鼠径部が膨隆し、臥位で膨隆が消失するのが特徴的な症状です。
この膨隆は親指頭大からソフトボール大くらいの大きなものまであり、男性の場合は陰嚢内まで膨隆が達することもあります。
この症状は片側の鼠径部のみならず、両側に出現することもあります。
膨隆時には鼠径部の疼痛や腹痛を伴うことがあり、さらに腸管が嵌まり込む(嵌頓)と腸閉塞や腸壊死を来たして重症化し、緊急手術を要することもまれにあります。
<手術方法>
鼡径部ヘルニアが自然治癒することはなく、根治のためには手術が必要です。
手術の原則はヘルニア門に人工補強シート(メッシュ)を当てて蓋をすることです。
手術の方法には以下の3通りがあります。
① TEP法:腹膜外腔からアプローチしてヘルニア門の裏側にメッシュを当てる腹腔鏡手術(図①)。
② TAPP法:腹腔内からアプローチしてヘルニア門の裏側にメッシュを当てる腹腔鏡手術(図②)。
③ 鼠径部切開法:鼠径部を切開してヘルニア門の表側にメッシュを当てる従来の手術法(図③)。
これら3つの術式はアプローチ法が異なるが故にそれぞれに長所と短所があります。
当院ではこれら3つの術式をすべて取り入れており、患者の性別・鼠径ヘルニアの病型・手術既往などに応じて、最適な術式を選択しています。

ロボット支援下鼠径部ヘルニア手術の導入
2026年6月に鼠径部ヘルニアに対するロボット手術が保険収載されたことを契機に、当院でもロボット支援下鼠径部ヘルニア手術を導入しました。手術支援ロボットが有する高精細3D視野・多関節機能、手ぶれ補正機能などにより、安定した精密な手術操作が可能であるため、合併症の少ない、より低侵襲な手術が期待できます。前述の3つの術式にロボット手術を加えることで、患者の病態に応じた、きめ細かい手術治療が可能となります。
鼠径部ヘルニア専門外来
毎週木曜日午前に鼠径部ヘルニア専門外来を開設しました。紹介された鼠径部ヘルニアの患者様を専門的に診療する外来で、鼠径部ヘルニアセンター長・文元医師が担当しています。
地域の医療機関の先生方で鼠径部ヘルニア患者様のご紹介やご相談があれば、責任をもって対応させていただきますので、ご遠慮なく当院の地域連携センターまでご連絡下さい。
| 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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| 午前 | ||||||
| 午後 | 鼠径部ヘルニア 専門外来 |
鼠径部ヘルニアセンター長
文元 雄一 (ふみもと ゆういち)
| 卒業年 | 平成8年 |
|---|---|
| 専門領域 | 消化器外科 下部消化管外科 ヘルニア外科 |
| 主な資格 | 医学博士 日本外科学会専門医・指導医 日本消化器外科学会専門医・指導医 日本大腸肛門病学会専門医・指導医 日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科) 日本内視鏡外科学会ロボット支援手術認定プロクター(消化器・一般外科) 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本ヘルニア学会鼠径部ヘルニア修得医 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会ストーマ認定士 日本臨床外科学会評議員 日本ヘルニア学会評議員 近畿外科学会評議員 関西ヘルニア研究会 世話人 阪神ラパヘルを語ろう会 世話人 |
メッセージ
鼠径部ヘルニア(脱腸)だと侮るなかれ。鼠径部の膨隆や違和感を自覚されたら、早めの受診をお勧めします。丁寧な診察と説明をさせていただき、最適な治療方法をご提案させていただきます。